231人が本棚に入れています
本棚に追加
5
トイレから出て戻ろうとしたら
同じくらいの年の男2人に声をかけられた。
「あ~!久しぶり。元気だった?」
「えっ?……えっと――」
え?誰?って戸惑っていたら
「覚えてない?中学一緒だった…あ、ゴメン!人違いだった。あはは」
「いえ、大丈夫です」
良かった、知らない人だ。
そのまま通り過ぎようとしたら、前を2人に塞がれた。
「ねぇ?1人?良かったら一緒に遊ばない?」
「いや、あの…」
あ?ナンパ?僕、男だよ?
女じゃないよ?
また戸惑っていたら右腕を掴まれた。
「…やっ、ちょっと離して」
「良いじゃん、行こうよ?」
「やだっ、離してって言ってるでしょ?」
ナンパ野郎2人ニヤニヤしてるし、振り払おうと抵抗しても離してくれない。
勘弁してよって焦っていた時――
僕の背後から手が伸びて、ガシッと男の手首を掴まえた。ナンパ野郎の手の力が緩んだ隙に、僕は振り払って距離をとった。
「おれのツレに何か用?」
怒気を孕んだ低い声がした。
ナンパ野郎2人は目を丸くして固まってる。
「――― 常磐…っ」
振り向いたらクラスメイトの
常磐 恭(ときわ きょう)がいた。
ちょっと目付きがキツめで、無愛想。それでも美形だから女子にモテて、身長だって高いし…。
常磐の見えない怒気オーラで、ナンパ野郎2人は顔を引き攣らせていた。
最初のコメントを投稿しよう!