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コンビニでたまたま声をかけてきたのがはじめて付き合った人。
31歳で顔が整っていて、優しく接してくれたが、二股野郎だった。
彼女がいたなら、孕ますぐらいなら最初からオレに声をかけるなよな…。
まあ、良いんだけど。
幼馴染みとして側にいられたらと、絢斗に合わせて高校を選んだ。
男同士でも恋愛してるような学校で、自分がゲイだと公言してる人がかなりいて、水を得たようだった。
絢斗は男にモテてた。
オレもだけど。
絢斗が男を抱いたという話を聞いてズルいと思った。
ノーマルだと思ってた絢斗がオレ以外を抱くなんてズルいと思った。
だから、こうなることを願ってたし、どこかで期待してたんだと思う。
どんな理由でも良かった。
『……本気?なら試してみる?』
少しの迷い、挑むように見上げ
彼とできるなら。
恋焦がれた絢斗ならと…。
好きだと言われて嬉しかった。
ずっと好きだった絢斗から言われたから…。
絢斗に対して恋心は蓋をして、諦めた感情だったから…。
遠回りしたなぁ…。
そっと呟く。
「ありがとう、絢斗」
「…ん、何が?」
「え、ごめん、起こしちゃったか?」
絢斗は向きを変えて、サイドテーブルに置いてあったスマホを手に取り画面を見た。
「いや、ん~、まだ4時だぞ?早いな。」
「ん、なんか目が覚めた」
「……煌太……」
向きを変えてオレの頬を優しく撫でる。
絢斗の手に掌を重ねた。
微笑み合いながら、何方ともなくそっと唇を重ねた―――…。
ぎゅっと抱き締め、今の幸せを噛み締めた。
――― END ―――
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