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ドアを開けたその瞬間 ―――― 途端に小さな悲鳴と視線を感じたが気にせず無視。 壁側にあるベッド上にいるであろう2人を視界に入れず、無言を貫き部屋に入った。 『浮気がわかったら直ぐ別れる』 “浮気疑惑”の時に釘をさして、バカレシの目の前で、これ見よがしにスーツケースに荷物を入れて、それを出されないようにカギもしておいた。クローゼットからそのスーツケースを引っ張り出して必要なモノをまた詰め込む。 固唾を飲むように無言の2人の視線が背中に感じて痛いがそんなの無視。 「「「…………」」」 改めてベッドに視線を向けた。 自分のカレシだった男に全裸で跨がったままの男と2人してそのまま固まっていた。 ―― 女だと思ったら男だった。 そっちの方が驚きだ。 甘ったるい声なんか出しやがって! 顔は、オレの方が可愛いのに浮気しやがって! 「あとの物は処分してくれてかまわない。それと…」 キーケースから鍵を外し、股がったままの男の足元に投げ付けた。 間抜けなくらい怯えてる二人に嫌悪感しかない。 言い訳なんか聞くつもりはない。 「ごゆっくり。もう連絡してくるなよ?」 理一がハッとしたように口を開いた。 「ま、待って!煌太!こ、これは、その…スポーツだ!断じて浮気じゃない!」 「……………はぁあ?」 自分でも驚く程低い声が出た。 間男も小さく「…えっ?」って言ったのをオレにも聞こえたぞ。 その珍回答でオレはその場から動けなかった。 なんと言った?と一応聞いてみた。 「これはスポーツだ!」 ――― 言い切ったよ。こいつ…。 男を跨がらせながらそんな事を言ってくるから、悲しいよりも呆れた。 何だよ?スポーツって…。
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