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飲み慣れないビールによっぱらい愚痴を溢してた記憶はある。 「本当にムカつく~!」 「おい、煌太。飲み過ぎ。終わりにしろよ?アルコール弱い癖に」 「んん~。いいじゃん、これでも傷心なんだもん。呑ませろよ」 絢斗はオレが開けようとしたビールの缶を奪う。 「ん~ケチ。……オレ、そこらの女より、顔も可愛いし、髪もサラサラで肌も艶々スベスベだし、感度だって良いのにさ~!」 「はいはい。口は悪いけどな」 絢斗はオレから奪ったビールをグビッと呑みながら相槌を打つ。 「それなのに、浮気なんてしやがって! 前のカレシだって浮気してナマ出しで子供作るしさ。 ナニが、『一回だけで良いから思い出が欲しいって言われたから』だ! 結婚して責任取るとかふざけんなよ!どうみても狙ってだろうが! どいつも、こいつもオレを裏切って~っ!もう愛なんて信じない! 皆 最低なヤツしかいない~!」 「お前が見る目がないだけだろ」 絢斗は飽きれたように言う。 うう、辛辣。 「そんなことない…とは言い切れない。どっかにオレのこと本気で好きで一緒に居てくれるヤツ居ないかな。 オレがゲイだから誰も本気で愛してくれないのかな……」 オレは背中にあるソファに仰け反り天井をボンヤリと見て目を閉じた。 「本気で誰も愛してくれないなんて言うなよ。」 向かいあって座っていたのに絢斗がいつの間にかオレの横に居た。 オレは驚いて目を見開いた。 「だ、だって皆、オレと付き合ってるのに平気で浮気して違う人選ぶんだもん。」 「じゃあさ、慰めてやろうか?体で?」 なんか艶っぽい顔してオレを見るし、そんなこと言うからドキドキした。 「ああ?あのなあ、お前が言うとシャレになんねぇよ。見境なしかよ?それより、迷惑かけてごめんな?」 オレはビールを手に取り謝った。が、またビールを奪われた。チッ 「オレは迷惑だなんて思ってないよ? お前、他は敏感に良く気がつくのに意外なところで鈍いよな……」 はぁって大きなため息なんかつかれた。
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