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絢斗はオレの顔を覗き込んで、呟くように耳元で囁いた。
「もう、オレにしなよ?」
絢斗のメガネの奥の視線が甘い。
…ような気がする。
「は?」
絢斗はそっと頬を撫でた。
その手は優しくて温かい。
「オレにしろ」
唇が重なる。
伝わる絢斗の柔らかい唇の感触。
何度も啄まれた。唇を舐められ、舌が歯列をなぞり、そして舌を絡めとられる。
金縛りみたいに体が動かず、オレはされるがまま身を任せていた――――…
オレ、絢斗とキスしてる―――…
「……っ、…ん、ぁ、……っ」
キスってこんなに気持ち良かったっけ?
そう思っていたら糸を垂らしながら唇が離れた。
全然 イヤじゃなかった。寧ろ離れた唇が名残惜しいとさえ感じていた。
「な、なんで…キス」
名残惜しいなんて思ってしまった事に動揺しながら聞いてみた。
「好きなんだよ、煌太が。オレじゃあダメか?」
え、なに、好き?オレを?
「…え?」
「オレずっと好きだったし年季入ってるよ?煌太にヤキモチ焼いて貰いたくて色々したけど…全然だったけどな。
お前が男と付き合ってるのに嫉妬してオレも言い寄ってきたヤツとシタけど、煌太の代わりだったし。オレが本当に好きなのは煌太だし。
オレにしろよ。ずっと一緒に居たい。オレ浮気はしない。それにオレ上手いよ?どう試してみる?オレお前とセックスしたい」
ストレートに言われて焦って、ナゼかこんな返しをしてしまった。
「……本気?なら試してみる?」
もっとオレに触れて欲しい。
そう思った。
だから、懇願めいた視線も送る。
視線が絡む。
絢斗はオレを引き寄せ、耳元で囁く。
―― 煌太が欲しい ――
オレは頷き唇を重ねた。
アルコールの力って凄いと思う――――……。
オレたちアルコールのせいだろう―――…?
こんなの…そうだろう?
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