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二人三脚(1話)
「明日、学部ごとに学祭の練習あるじゃねーか。大学になってまで面倒臭いな」
エアコンのきいた自分の部屋のベッドに座りながらリクオは言った。手に持つ学祭のしおりに自然としわが入る。
「ドンマイ、じゃあリクオは何に出るの?」
リクオの文句に対して机にのっている身長30cmくらいの少女が聞いた。
「えーと、二人三脚かな。ペアがうーん、クリオって誰だ?」
同じ学部のはずなのに、聞いたことがなかった。どことなく自分と名前と似ている気がする。リクオは続けた。
「クリオってどんなやつだと思う?」
「へへ、なんかハゲ散らかしてそうな名前。リクオって」
「たしかにハゲてたりして」
リクオは笑いながら言うと、目の前の小さい少女が必死に笑いを堪えながら、リクオのほうを見つめていた。嫌な予感がした。リクオは冷静に彼女の台詞を思い返した。
「リクオって……俺の名前じゃねーか。おい、騙したな。名前が似てることをいいことに」
「騙したつもりなんかないよー。だってリクオ、ハゲじゃん」
「誰がハゲや。まだふさふさしてるわ」
「誤魔化してもダメだよ。若ハゲー、進行!」
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