始まりの物語

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始まりの物語

1. あの世には、天国と地獄がある。 日本の天国では釈迦(しゃか)が、地獄では閻魔(えんま)が国を治めていた。 そしてある日、閻魔は運命の出会いをしたのだった。 女の名はヘル=アンドア・マリーナ。地獄で働く攻撃部隊の隊長である。 2人の距離が縮まるのはそう遅く無く、 程なくして閻魔とマリーナは結婚した。 2人はラブラブで1週間もしないうちにマリーナの妊娠が発覚した。 子供は腹の中ですくすくと育ち、予定より1ヶ月早く出産された。 これは、地獄最強の閻魔と攻撃隊隊長のマリーナとの娘、 閻魔=ヘル・エルメルの人生物語である。 ---大きな部屋の中で少女と執事が話をしていた。 老いた執事が言う。 「…と。これが、エルメルお嬢様が知りたがっていた閻魔様とマリーナ様の馴れ初め話でございます…」 少女の名前は閻魔=ヘル・エルメル。 現在13歳で、この地獄の王、閻魔の娘である。 「ノルマン、私ってそんな凄い人なの?」 少女は尋ねた。 そして執事が答える。 「ええ、エルメルお嬢様は、この地獄で一番の閻魔様、マリーナ様と同等の権力がございますよ」 「けんりょく…なにそれ?」 少女がまた一つ尋ねた。 執事はエルメルの探究心に関心しながら答える。 「皆を動かせる力のことです。皆、エルメルお嬢様の命であれば、何でも聞くでしょう」 「なんで?私、なんにも皆んなにしてないよ?」 「はっ…、エルメルお嬢様がわれわれに興味を…!(わたくし)感激ですぞ…」 「え!?そんなことで涙目にならないで!?」 エルメルは慌てながら執事の涙を拭いた。 「もう…。それでなんでなの?ノルマン」 「あぁ、それはですね…」 執事が説明しようとした時、 バン! 大きな音を立てて、扉が勢いよく開けられた。
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