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第2夢 未知との遭遇
青ガラスが飛び立った先は、どこまでも鳥居が続いていて先は見えなかった。
道は一本道のため迷うことはないが、先に何があるのかは全く見当がつかず、歩くたびに優の不安は増していく。
帰り道を探して家に帰る――。
とにかく、これだけを考えようと優は決めた。
不安をぬぐうため、それだけを心の支えにしようとそう思った時だ。優は何かが地面に落ちているのに気がついた。
「…?」
道ばたで鈍く光るそれは、ぜんまいであった。
機械仕掛けの人形などにさしこんで動かすアレだ。
優は少しさびたそれを拾い上げる。
(いつもはこんなもの拾わないけど…)
少し考えると、優はそれを持って行くことにした。
普段なら落ちているものはめったに拾わない彼女だが、どこかで役に立つかもしれないと、なぜだかそう思ったからだった。
そうしてぜんまいを手に入れ、再び鳥居のトンネルを進んでいく。
どれくらい時が経ったのか、しばらくして一本道がひらけた。
優が最後の鳥居をくぐると、そこには街が広がっていた。いつの間にか霧も晴れていて、ようやく優の心は少しだけホッとした。
石畳で整えられた地面に足を踏み入れると、不思議なことに外国の街中のような場所だった。
いたる所に英語のような文字で記された看板や表札が出ていた。いずれにしても優の知らない場所であることに変わりはない。
(だれもいない…?)
しかし街はゴーストタウンのように静まり返っていた。
優は不審に思いながらも一人街中を歩き始める。
すると、突然何かがすぅっと後ろを横切った気配がしてふり向いた。
(……?)
しかし、だれもいなかった。
だが気配はするのだ。姿こそ見えないが、どこかでだれかの視線があり、なんとなく見られている感じがしてならない。
「…だれか、いるんですか?」
姿の見えないだれかに向け、優は問いかけた。
しかし返事はなく、ただ自分の声が辺りに響くだけである。優はすぐに向き直り、先を急ぐことにした。
早足で歩く優の後ろにはだれもいない。
しかし、彼女の後を追う何者かの気配はそこにはあった。
足音はなく、その気配と見られているという感覚はしっかりと存在していた。
優は歩きながらもう一度、チラリと後ろを確認する。
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