第2夢 未知との遭遇

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「はぁ…、わかりました」 ため息をつくと、優はしぶしぶうなずいた。そして彼の奇妙な姿を見つめると考える。 その身体はというと、ところどころが色の違う布や糸でつなぎ合わせたような、なんともちぐはぐな感じだった。 ちょっと縫い目の粗い、みすぼらしいぬいぐるみを見ているようであった。 「……キルト」 「ん?」 「、っていうのは、どうですか?」 彼はきょとんとする。 そんな彼の容姿から、優は家に飾ってあったキルト人形をふと思い出したのだ。 その人形となんとなくイメージが重なったからであった。 「キルト…。そっか、おいらキルトかぁ…。うん、なんか良い響きだなぁ」 すると気に入ったのか、彼はその名前を復唱する。照れくさそうに頬をゆるめる様子に、優も少し安心した。 「よし!じゃあさっそく出口を探そうぜ。こんな所、長居は毒だ」 そう言って彼、改めキルトは張りきった様子で歩き出す。 するとその目の前を、黒い人影がサッと横切ったのだ。 「ぎゃあぁあぁああ――っ!!」 その様子に、キルトは悲鳴を上げて派手に後ろへとひっくり返る。 優はそんなキルトの悲鳴にびくりと驚いた。 「な、なんだ…。か、おどかすなよ」 正体がわかると、キルトは安心したように深いため息をついた。 彼がいうそれは物陰に隠れてしまい、その姿は確認できない。ただそこにだれかがいるような、人の気配しかわからなかった。 「はぁ…。あれは影男(かげおとこ)っていって、物陰にじっとたたずんでるだけの影みたいなやつだ。 ただ気配がするってだけで姿は見せないし、人畜無害だ」 そう優に説明してみせるキルトは冷や汗をぬぐった。 神出鬼没で心臓に悪いと彼は言うが、正直、優はキルトの悲鳴のほうが心臓に悪いと思った。 「そう…。立てますか?」 「ば…っ、当たり前だろ!ま、まぁ今みたいにヘンなのが他にもいるし、ここは複数で行動するのが賢明だぞ」 手を貸そうとする優を拒み、キルトは自分で立ち上がる。そして先頭を歩くのをやめ、さりげなく優の後ろへとまわった。 「…そうですね。さっそく出口を探しましょう」 先ほどまで感じていた視線は、もしかして影男の仕業だったのだろうか。 そんなことを思いながら、優はキルトにわからないように小さくため息をついたのだ。
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