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泥酔して(ry
起きたら猫のぬいぐるみになっていた。
ちょっとなに言ってるか分かんないが、安心しろ。俺もなに言ってるか分かんない。
猫のぬいぐるみになっていた。
ラヴリーな二頭身のフォルムに、エレガントでやや毛足が長い銀色の毛並み。ラヴリーな。ラヴリーな!
ま、ともかく俺(彼女いない歴38年の38才)は、今、ここにこうしてラヴリーな銀と白のエレガントハチワレ猫のぬいぐるみとして転生し、ご主人様に愛される日々を過ごしているのだ。
「あー、グリモワール! こんなところにいたのね。もう、探したんだから」
俺のことをグリモワールなどとウズウズする名前で呼んでムギュっと抱きしめたのは俺のご主人様、グレイス・チャンドラー嬢(9才)である。
煌めく金色の髪と澄んだ空のような青い瞳。その顔立ちはすでに世界遺産級美女の雰囲気を醸し出していて、おじちゃん、何やら君の将来がとても楽しみになってしまう、そんな少女だ。
「ははは、待ちなさいグレイス。そんなにきつく抱きしめたら、ほら、グレート・チャリスも困っているだろう?」
後から涼しい顔でやってきたのは、彼女の父親グレゴリー・チャンドラー侯爵(30才)であった。グレイスと血のつながりがあることを明確に匂わせる、柔らかな金髪に青い瞳、そして素敵な笑顔、セクシーなケツアゴと胸毛に六つに割れた腹筋。
なにこのイケメン。早く爆発したらいいのに。
とは、流石の俺も思わない。
なぜなら、このグレゴリー君、たまに俺を晩酌に付き合わせ(と言っても向かいの席に座るだけだが)早くに亡くした奥さんを思い出しながら一人泣くのだ。貴族の当主で広大な領地を持ってて領地経営も上手くいってて、可愛い娘もいて、笑顔が爽やかすぎるイケメンで腹筋割れてて奥さん想いってどんだけ好感度上げれば、早く爆発して欲しい。
そんな素敵な親娘なのだが、実はある秘密を抱えているのだ。この世界で俺しか知らない秘密を。
今から6年後、亡くなった奥さんを求めるあまり、二人は仮初の体を作って奥さんの魂をそこに吹き込もうとするのだ。冥界から魂を呼び寄せようという禁術を行使したことにより、決して開けてはいけないとされていた理外の扉が開き、二人は中から現れた悪魔に心を乗っ取られてしまう。
そして乗っ取られた二人は冒険者を養成する偽りの学校を作って、将来有望な生徒に地味な嫌がらせをしたり、魔法書専門の本屋をいくつも作って、見栄えだけで非効率な魔法書ばかり販売するようになるのだ。全ては魔王と勇者が現れたときのために。
なんでそんなことを知ってるかって?
当たり前だろ?
ここは俺が大好きだったソシャゲの世界なんだから。
そして、この世界で目覚めた俺にグリモワール・チャンドラー、又は、グレート・チャリスという名前と愛をくれたのは、悪役になる二人なんだ。
とても温かい居場所をくれたこの親娘を、俺は絶対に悪役なんかにはさせない!
だから、ああ、この世界の神様!(名前忘れた)
どうか俺に嫁を下さい!
できるだけ美少女がいいです!
あと、名前をどっちかに統一して下さいにゃ!
にゃ!
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