第66話 悪党たちの会談

1/1
前へ
/82ページ
次へ

第66話 悪党たちの会談

「まさか、巽才人ではなく郭婕妤が死ぬとはな。宴の席で上手く始末できると焦った阿呆の仕業じゃろう」 「ほぉ~~私としは貴殿が怪しいと睨んでいたのだが……違ったか」 「はははっ!わしならもっと上手くやるわい」 「なんにせよ、巽才人の監視は必要だ」 「そう言えば、あの妃はどうしておる?」 「賢妃のことか? かの妃なら自分の宮殿で大人しく過ごしておるようだ」 「公主がいたな」 「ああ、確か五歳か六歳になるはずだ」 「娘を産んで以降は寵愛も薄れているからな。放っておいても良いのではないか?」 「それもそうじゃな。どうせ十年したら皇族か貴族へ降嫁させるのじゃからな」 「左様、公主ならば何の脅威にもならん」 「徳妃はどうだ? 最近、再び陛下の寵愛を受けているという報告があるぞ」 「あそこは特に問題ないと思うぞ。流産と死産を繰り返して医官の見立てでは、もう懐妊はできないそうだ」 「そのこと本人は知っておるのか?」 「いや、知らんだろう。この前の流産で体をこわして侍医から『懐妊がしにくくなっている』と聞かされたぐらいだ。今は薬を使って体を回復させることに専念しているらしい」 「薬を使ってでも子供を産みたいか……。まったく業の深い女よのう」 「陛下はどうなのじゃ?」 「陛下は徳妃の体の事は存じておる。それ故、徳妃を慰める為に通っておるのだろう」 「なるほどのう……」 「徳妃のことはよい!それよりも侍医が秘かに診た妃がいる」 「極秘か!?」 「一体誰だ?」 「淑妃の宮殿に入っていったそうだ……」 「なに!?」 「その場には陛下もいらっしゃったそうな」 「なんだと!?」 「まさか……懐妊か!?」 「恐らくな……」 「どちらだ……巽淑妃か、それとも……巽才人か?」 「報告では、巽淑妃の方だ」 「「「「「「おぉぉぉぉぉぉ!!!」」」」」」 「淑妃ならば未だ安心だ」 「ああ、巽才人でなくて良かった」 「淑妃は道理を弁えている。皇帝に無茶な要求はせん」 「まったくだ!」 「前の朝儀でも巽才人の一声で千秋節の呼び名か変わったからな」 「千秋節の宴にケチが付いたとか申して、改名させるなど……陛下も陛下じゃ!なにが『巽才人は名づけの才能がある』だ」 「確か新しい名は『天長節(てんちょうせつ)でしたな』 「左様。『天に長寿を祈願いたしましょう』などと申したらしい。馬鹿げたことよ。我らが何も知らないとでも思っておるのか? 『天長』は巽州の都の名前ではないか! 自分の故郷の名をそのままつけるとは!!」 「非常に危い」 「巽才人の監視を増やすぞ」 「「「「「「承知」」」」」」    
/82ページ

最初のコメントを投稿しよう!

232人が本棚に入れています
本棚に追加