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―序章:終わりは突然に―
【古びたノート】
世紀末にはノストラダムスの大予言が流行り、どこかの国の人は大掛かりなシェルターを作ったと聞いたことがある。
まだ小学生にもなっていなかった私たちはそんな世間の噂を知らず、特別な年明けも布団の中で眠っていたと思う。紅白だって、ガ●使だって終わりまで見なかったくらいに小さかった。
世界の終わりなんてライトノベルにありがちな設定でしかなくて、世界の終わりに向けて備えているやつなんて中二病くらいだった。
私たちは世界のことより自分たちのことに精一杯で、ちょっと真面目な連中は大学の進路を悩み、私なんかはアルバイトのシフトをどうしようかと悩んでいたり、テスト前に勉強をサボっていたことを後悔していた。
今日も■☓は遅れてくるのか、それとも保健室には来ているのか、次は英語だからそこはノートを取っといてやるかと考える。
そして放課後になってお互い気が向いたら自転車で近くのショッピングモールへ行って時間を潰した。
○▲が部活を抜け出してきた日は少し高いジュースを飲んで、くだらない話をしていた。
なんて有意義で無意味な青春。
遠足も文化祭も体育祭も終えて、何で不真面目な私や■☓ばかり活躍するのかと学年トップの成績を持つ美女○▲が文句を言う。美少女というだけで今後活躍の場が増えるやつに文句を言われたくない。
私たちの仲は良かったと思う。
でも大学はきっと別のところにいくし、来年だってクラスが別になるかもしれない。そしたら今のように遊ぶことはない。
たまたま近くにいて、お互いに長女だったからなんとなく仲良くできていただけ。
修学旅行も無難に楽しんで、今年はあと期末テストくらい。
クリスマスは女子三人でケーキバイキングでも行くかなんて話していた。
全て青い思い出になり下がった。
二〇一〇年、秋の終わり。
世界が終わった。
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