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【古びたノート】
アレがやってきたのは突然だった。
現在、通称「エクリプス」と呼称される地球外生命体が世界の各地で発現したという。残念ながら当時を知っている私ですら限定的な話しか分からない。
エクリプスが現れてから島国を出ることも、外から入ってくることも叶わなくなったため外部の状況は分からない。
もしかしたらここ以外は全て滅びているのかもしれないし、他はすべて平和になったのかもしれない。
私たちですらここ一帯の地域以外の状況が分からないのだから、もう世界は終わったと言ってもいいと思うけど。
エクリプスに関して分かっていることは多くない。
個体差も様々であり明確な区別がなく、大きさや強さによって地域ごとに三~五段階ほどに分けられている。小さく弱いものであれば道端の石で倒すことも可能だが、大きく強いものになると訓練を受けていない者は太刀打ちができない。中にはエクリプスに襲われ、赤化病を発症し、ゾンビのような存在になるケースも確認されている。
エクリプスを倒す手段としては、共通として水鉱石というものを利用する。エクリプスが金属、特に鉄分を栄養として強化してしまうためだ。
水鉱石は鉄よりも手に入れづらく、加工も簡単ではないため大きな組織でなければ保有は難しい。
つまり、エクリプスに対応するため私たちはは徒党を組むしかなかった。大きな組織は国となり「京」と呼ばれるようになり、政を担うようになった。第三世代以降は、京に勤めることが名誉として扱われるようになる。
しかし、京とは相容れない組織も誕生していく。エクリプスは水を苦手としているため、水源が豊かな地域は力をもちやすい。多くは京に占拠されてきたが「ロストシティ」という地域だけは独自の力で存在を保ってきている。もちろん街に名前はあったが、京が存在を明らかにしないことからその名で呼ばれることになった。
京、及び周辺地域で噂されるロストシティの話は一つ。
「ロストシティに足を踏み入れて帰ってきた者はいない。赤い地獄の鬼に喰われる」
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