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「とりあえず毎日診察は続けるぞ。恵衣、お前悪化したから入院になりました、とか勘弁しろよ。私が自由にあれこれ出来なくなるからな。気合で治す心構えでいろ」
恵衣くんの代わりに「そんな無茶な……」と心の中で呟く。
「にしてもどうすっかな。今までは自由に文殿に出入りできたけど高等部も閉鎖になったから、俺らが出入りしようとしたら入口で止められるぞ」
鶴吉さんが腕を組んで難しい顔をした。
確かにそうだ。これまでは学校内や社頭の施設は自由に使えていたけれど、自宅待機となった今は自由に部屋の外に出ることが出来なくなる。
「校舎の鍵がかかるわけでもないし、いつも通り忍び込めば問題ないだろ。教師の目が多くなるのが少し厄介だが」
そっか、学校は閉まらないんだ。
でも先生たちの見回りも増えるだろうし────。
「あっ」
声を上げた私に皆は不思議そうな顔で振り向く。
「嬉々先生の研究室……!」
「うわっ、そうだった!」
明日、嬉々先生の研究室へ忍び込もうと話していたのをすっかり忘れていた。
学校が休み、なら授業もない。
となれば嬉々先生は研究室に籠るだろうし、忍び込む隙もない。
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