序 夏休みと祟り

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チリチリと首元を照らすお日様を見上げて目を細めた。晴れ渡る空には洗濯したての入道雲が浮かび、セミの鳴き声が響き渡る。 数日前から夏休みに入った。 「みこー!?」 遠くから駆け寄ってくる懐かしい友人に、思わず顔をほころばせる。 大きく手を振って応えた。 「恵理ちゃん、久しぶり!」 中学時代はトレードマークだったお下げは高校に入ってからバッサリ切ったのか、ショートボブ姿の恵理ちゃんが息を弾ませて駆け寄ってきた。 私、椎名(しいな)巫寿(みこと)の幼稚園の頃からの幼馴染の恵理ちゃん。 高校入学と同時に進路が別れ学校生活が忙しかったのもあり、再会したのは約4ヶ月ぶりだ。 走るスピードを緩めず、そのまま私に飛び付いた恵理ちゃんを笑いながら受け止める。 相変わらずの姿にぷっと吹き出す。 「何笑ってるの! 死ぬほど心配したんだから〜っ」 ぎゅうぎゅう私を力強く抱きしめる恵理ちゃんに「苦しいよ、ギブギブ」と両手を上げて降参を示した。 恵理ちゃんがそういうのも無理はない。 卒業式に出席できず、友達に別れを告げる間もなく私はここから離れてしまった。 高校に入学してからは毎日を過ごすだけでもいっぱいいっぱいで、恵理ちゃんから心配のメッセージが沢山届いているのに気がついたのは一学期が終わった日の帰りの車の中だった。
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