参 二学期

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「みんな、久しぶり。夏休みは楽しめたかな」 教壇の前に立ってにっこり笑ってそういったのは漢方薬学の先生、来生(きすぎ)豊楽(ほうらく)先生だ。 私たちは豊楽先生を見上げてあんぐりと口を開ける。一学期とは変わり果てたその"頭"に絶句した。 「あ、これか?」 豊楽先生は自分の頭をぺしっと叩いて笑う。 私達も笑っていいものなのか、こっそりと視線を合わせてみんなはお互いの様子を伺う。 長い前髪を七三にかき分けたオシャレな髪型だった豊楽先生の髪の毛が一本も残らずなくなっていたのだ。 豊楽先生は整った顔立ちなので見た目にはさほど影響はしていないが、久しぶりの再会でツルツルになっていたらどんな反応をすれば良いのか戸惑う。 「えっとー……思い切ったイメチェン?」 私たちを代表して慶賀くんがそう尋ねる。 豊楽先生はその質問が面白かったのか声を上げて笑った。 「違う違う。熱射病で溶けただけだ」 「なんだよ、熱射病か〜……熱射病?」 熱射病……って、熱中症のことだよね。熱中症で髪の毛が抜ける? あれ、でも豊楽先生は"溶けた"って……。
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