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私は病院のベッドの上で警察官から事故の説明を聞いていた。
現場状況からすると突然目の前に野生の鹿が飛び出してきた為、彼がそれを避けようとして急ブレーキを踏んだ。普通であれば避けれたのだが雨でぬかるんだ道の上でハンドルを取られ制御不能となった車は道の脇にあった大木に激突したのだと。少しでも早く家に着きたいという思いが事故を招いてしまったようだ。
「あぁ。」
あの時、回り道さえしなければという後悔が押し寄せてくる。大切な彼を失ってしまった。一人ぼっちになってしまった。
涙が溢れて止まらなかった。
そんな私を見て申し訳なさそうに話しかけてきたのは警察官の隣に立っていた医師だった。
「あの…ご主人様の事は非常に残念ですがお腹のお子さんは無事でしたよ。」
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