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本棚に追加第9話 そして、新たなスタートへ(2)
「『来ちゃいました』ってねえ」
「だって、これならお互いに忙しい日々が続いたとしても、すぐに会いに行けるでしょ?」
「……君ってやつは、もう」
臆面もなく言うものだから、照れくさくてかなわない。それでも、こんなにも真っ直ぐに好意を示してくれることが嬉しくて、つい頬が緩んでしまう。
ちょっと未だに信じられないが、愛しい恋人が隣の部屋に住んでくれるだなんて。それはどんな日々になるのだろう――想像するだけで胸が躍るものがある。
(あんなことやこんなこと……いや、そんなっ)
心がふわついて、めくるめく妄想が止まらない。諒太は赤くなった顔を逸らしつつ、己を必死に律した。
「あの、諒太さん?」
「なな何でもないよっ、ヘンなこと考えてないから!」
「……俺は考えてましたけど」
「え?」
「一人暮らし始めたら、諒太さんを部屋に呼んで……何しようかなあとか」
橘がそっと頬に触れてくる。そのまま優しく撫でられて、諒太の胸はドキリと音を立てた。
言葉の意味を考えれば考えるほど、期待感ばかりが膨らんでいく。まだ数えるほどしか肌を重ねていないけれど、初めて結ばれた日からというもの、橘はどんどん色気を増している気がしてならなかった。

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