最強のお守り

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私の声音に流石に義母は少々言い過ぎたと思ったのか、まぁまぁと宥めにかかる。 「それは言い過ぎかもしれないけれど、でもきっと理由があるのよ。問い詰められるのは誰だって嫌じゃない。今は少し距離を置いて、そう。あれよ、冷却期間よ。だから間違っても離婚だなんて言い出さないでちょうだい。繭ちゃんも、多感な時期なんだから」 「……」 「いいわね。くれぐれもよろしくね」 言いたいだけ言って、電話が切れる。 日曜、朝、8時。 ダイニングテーブルで、繭が朝食のトーストにジャムを塗っている。 「おばあちゃん?」 「……うん。そう」 「お父さん、おばあちゃんの家にいるんだ」 繭は9時から部活の朝錬だ。 中学から始めた吹奏楽部は、顧問の先生が厳しく、練習もハードらしいが繭は辞めたいとは言い出さない。
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