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”好き”を言えた日
「す……っ、す……、、す………………」
一向に「す」の続きを言葉にしない僕を…
「す?」
不思議そうに見つめる彼女。
彼女のその透き通るような瞳は
僕の体を貫通しそうな程、
真っ直ぐ僕を見ていた。
僕の心臓はさらに跳ね上がり、
ゴクリと息を飲む。
「す……すき…やきって、美味しい……よね!」
「すき焼き?あぁ、うん!美味しいね」
「でもなんで急にすき焼き?」と
首を傾げて笑う彼女に僕は
「あははは」と変な笑い方しか出来なかった。
「じゃあ、私こっちだから、バイバイ!」
「あっ、うん!バイ、バイ…」
遠ざかる彼女の背中を見つめ、1人唸る。
「あぁ…」
僕の……
馬鹿。
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