わたしの中のたまご

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 この生まれたての気持ちの名前を、私は、はっきりと、知っていた。  怒りだ。 「お母さん、怒らないでよ」  耳がキーンと痛くなる。 「お母さん、私がやりたいことやらせてよ」  喉の奥に熱と、痛みが広がる。 「お母さん、がっかりしないでよ」  どうしても、抑えきれなくなって涙がボロボロとこぼれる。 「お母さん、・・・お母さん、・・・お母さん!」  私は駐車場で吠え続けた。  奏太君がギターをかき鳴らしていた時のように。  心が思うままに、体がしたいままに、のびのびと、自由に叫んで、泣き喚いた。  唖然とするお母さんを置いてけぼりにして、私は初めて感情を爆発させた。
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