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窓の外に流れていく景色が体操教室に向かうものと違っていた。
不思議に思って、「道が違うよ」とお母さんに尋ねると、
「今日からね、火曜日もピアノ教室に行くことにしたの。もう体操教室には行かなくていいわよ」と言った。
バックミラーの中のお母さんの顔は笑顔だった。
でも、お母さんが怒っているような、がっかりしているような気がして、私は「ごめんなさい」と何度も繰り返した。
「ちづちゃんの将来のためなんだから」
って言う時のお母さんの顔は、シールを貼りつけたみたいに、いつもこの笑顔だった。
そろばん教室では、普通の子たちよりも少し成績は良いぐらい。
ピアノはけっこうできる方だけど、一番じゃないから頑張らないといけない。
英会話教室はよく分かんないけど、たぶんお母さんは続けさせたいって思ってる。
バレエとスイミングはできない方で、もうそろそろ体操教室の時と同じように他の習い事に変わるかも。その証拠にお母さんはスマホで色んな教室を探してる。
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