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ジャンジャカジャカジャンジャーン!
滅茶苦茶な音の並びで、自由で、のびのびしていて、その音色に心が震えた。
古い縁側のステージから目が離せなくなった。
「ねえ」
男の子が手を止めて、目が合う。びっくりしたように目を大きく開く。まつ毛が長くて、宝石みたいにきらきらしている目。
思わず声をかけてしまった。自分で気づいて少し恥ずかしくなったけど、もう止まらなかった。
「私も、それやりたい」
男の子は大きな目をさらに見開いたけど、すぐに、くにゃっと笑った。
「外からぐるっと回って、庭に入ってきたらいいよ」
男の子が指をさす。そっちの方へ生け垣の外側をぐるっと回ると、お家の玄関を見つけた。玄関の脇を通り抜けて、壁と生垣の裏を抜けると、さっきの男の子が庭の真ん中に立って待っていた。
「お前、名前は?」
男の子に「お前」って呼ばれるのは初めてでちょっとひるんだ。
「・・・千弦」と言いながら、足で地面に漢字を書いた。
「良い名前だな」と漢字を見て男の子が呟く。
「お前の名前に入っている『弦』っていう漢字な、このギターの音が鳴るとこと一緒だな」
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