わたしの中のたまご

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 私は、来週の月曜日も同じ時間に来ることを約束して、急いでそろばん教室に戻った。  駐車場に戻ると、すぐにお母さんの車が入ってきた。 「お母さん、私ね、この前の検定で級が上がったから、勉強の時間が一時間長くなったの」 と伝えた。「一時間遅い時間のクラスになった」ではなく、「一時間長く勉強するクラスになった」と嘘をついた。 どうしても、奏太君に会うための一時間を作りたかった。 私の小さな心臓が耳の近くにあるんじゃないかと思うくらい、ドクドクと喧しくて仕方なかった。  一瞬、お母さんは眉を寄せて嫌そうな顔をしたけど、すぐに「そう、級が上がって良かったわね」と言って、笑った。 「じゃあ、一時間後にまた迎えに来るわ」と言って、お母さんは車に体を入れて、行ってしまった。  初めてお母さんが知らない「秘密」を作った。私だけの秘密。  まるで、卵をポケットの中に入れているみたいにドキドキした。  割れるんじゃないかと怖くなるけど、同時にワクワクしてしまうようなそんな気持ち。
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