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わたしの中のたまご
月曜日はそろばん教室の日。火曜日と木曜日にはピアノ教室があって、水曜日はバレエ教室に行って、金曜日はスイミング。土曜日は英会話教室があって、日曜日は特に決まっていないけど、たいていピアノやバレエの発表会とかスイミングの大会の予定が入る。
「ちづちゃん、毎日習い事があって大変だね」
と友だちによく言われる。
自分のことを大変だと思ったことは一度もない。ただ、お母さんに申し訳ないなと思う。
お母さんは一年生の頃から三年生の今日にいたるまで、毎日、学校までお迎えに来てくれる。車に私を乗せて習い事の教室までの決まった道のりを、決まった時間に送り届けてくれる。
お母さんは、一か月も二か月も先の私のスケジュールを管理してくれていて、お母さんが言う「無駄な時間」ができないようにしてくれている。
「ちづちゃんの将来のためなんだから、お母さんは全然しんどくないのよ」
とお母さんは口癖のように毎日言う。
その言葉を言う時のお母さんの顔は、いつも私をぞっとさせる。
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