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わたしとえっこは高校からの友達だ。
おんなじマンガが好きで、アニメの趣味もビックリするくらい一緒だった。
わたし達が高校の時にはもうアニメもマンガも子供のものっていうよりはサブカルチャーとして認識されていたからそういうのが好きでも恥ずかしさとかは無かったかな。
両親はちょっと嫌そうだったけど、わたし達は楽しかったからそれでいいかなって。
三年間は一緒にイラストを描いたり、描く為の道具を買いに行ったり、同人誌とかを買ってみてわたし達も描きたいねって即売会にも行ったりした。
高校生だからお金もあんまり持ってなくて、二人ともバイトしてお金を貯めて初めて同人誌を作って、即売会へ参加もした。
見様見真似で接客して、参加者さん達の服装を参考にしてメイクをしたり服を買ったり、そんなふうに過ごした。
大学に通いながらわたしはマンガを描き続けた。
えっこは大学には行かずにわたしよりも二年早く社会人になった。
社会人になったえっこは忙しそうで、わたしが連絡しても返事は来たり来なかったり。
わたしはわたしで友達も出来たし、相変わらずマンガもアニメも好きだったからそっちが好きな人達と交流も増えて、その中の一人に有名なマンガ家の先生を紹介してもらってアシスタントをするようになった。
大学を卒業したわたしは社会人をやりながら、同人誌を描いていた。
アシスタントで得た知識のおかげでマンガらしいマンガを描くようになっていて、有難いことに雑誌に載ることも出来た。
さすがにそれ一本では食べていけないから仕事とマンガを必死で両立させた。
この頃にはえっことの縁は完全に切れてしまっていた。
ある日、えっこのお母さんから連絡があった。
知らない電話番号に恐る恐る出てみたら、えっこのお母さんだった。
えっこは病気で亡くなったらしい。
何年も会っていなかったから、わたしの中のえっこは高校生のままだ。
いちばんキラキラしていた時のまま。
お葬式の後、えっこのお母さんが紙の袋を渡してくれた。
わたしが持っていた方が良いだろうからって。
家に帰って、中身を取り出すとそこには薄い冊子が数冊入っていた。
「これって」
ふたりで一生懸命作った同人誌だ。
今見たら全然拙くて、笑っちゃうくらい絵も汚いのに、なんでだろう?
すごく尊いもののような気がした。
開いたページの中に、確かにえっこが居た。
「また、会えたね」
一緒に笑い合った時間が頭を回って、ぽろっと涙がこぼれた。
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