体罰

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体罰

 あれは確か、小学1年生の時だったと思う。私が通っていた小学校には、日本名の中国人の同級生がいた。  同じクラスだったのは1年生の時だけで、またその子と会話した記憶は全くと言っていい程無い。物静であまり話さず、そして何も問題を起こす事も無く、真面目な子だったと記憶している。  私と同じ「特別永住者」であれば、特別永住者は韓国・朝鮮・台湾国籍であるから、中国国籍であるその子は多分「外国人永住者」だったのだろう。 (「永住者」であれば通称名は使える。)  その子がある日、上級生から「中国人www」と嘲られた。先生が学級会でその事をクラスの皆に話した。  そしてその場に、当人である上級生とその担任の先生が来ており、学級会の話が一通り話が終わったところで、(上級生の担任が)「この度は大変申し訳ありませんでした!」と(私の担任に)言い、すぐさま当人を何度も往復ビンタ。  正直なところ、小学1年生にはまだ理解が追いつかない。しかしながら、それが悪いことなのだと『覚える』には、十分過ぎるインパクトがあった。  ビンタされた当人も、軽い気持ちでやったにせよ「先生からこれ程の罰を受ける事だった」と『理解』したろう。それを見ている(私を含め)1年生達も「同じ事をすれば同じ罰を受ける」と『覚えた』だろう。  こういった「体罰」は、今現在では許されないやり方になってしまったが、「再発防止」と「躾け」という意味では「正解」であろうと私は思う。本当に理解するのはまだ先の事でも、まずは覚えさせなければならない。それも含めて教育だろう。    だがそれを見ていたの私は、複雑と言おうか、何とも言えない気分であった。
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