韓国籍と朝鮮籍

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 大伯父(祖父の兄)が外国人登録を「朝鮮」のままにする事、つまり「名目上『朝鮮籍』を選んだ」事により、当時はかなり揉めたそうである。  「『なんで故郷が韓国(側)なのに『朝鮮』にするんかっ!!』って言いながら、じいちゃん凄い怒っとった」…と、祖母は言っていた。その後暫くは絶縁に近い状態だったそうだ。  何故に大伯父が朝鮮籍を選択したのかは、実際のところよく解らない。祖母はそれ以上の事は語らなかったし、私の父に至っては露骨に大伯父を嫌っており、話すのも嫌という感じだった。  また、大叔父(祖父の弟)も初めは朝鮮籍を選択していたようだが、大伯父とは考え方は違っていたらしい。  実際に父は大伯父(兄)とは疎遠だったが、大叔父(弟)側の親族とは仲が良く、付き合いがあった。  ただ大叔父は若くして亡くなった為、その後に韓国籍に変わったかどうかは定かでない。  とはいえ、祖父達が国籍選択で物別れした頃は、朝鮮が共産主義とは名ばかりの独裁国家「北朝鮮」だとは、まだ誰も知らない時分である。  大伯父が共産主義に憧れたのか、「朝鮮」という呼称にこだわったのか、今となっては知る由もないが、流石に「独裁国家マンセー」ではなかろう。  ともあれ、血の繋がった兄弟同士で国籍が異なるという、「異常事態」となってしまった結果、私や家族は韓国籍だが親族が朝鮮籍という形になっていた。
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