韓国籍と朝鮮籍

6/8
前へ
/58ページ
次へ
 また、私の親族には別のパターンで「朝鮮籍」となった者もいる。「韓国籍」と「朝鮮籍」の者が結婚した場合だ。  韓国籍である伯母が朝鮮籍の男性の元に嫁ぎ、従兄弟は朝鮮籍を選択する事となった。結果、私には血の繋がった「朝鮮籍の従兄弟」が存在する。  では、この従兄弟が私等と「互いに敵国」だといがみ合ったりするかと言えば、そんな事は何も無い。  別に「将軍様マンセー」などとも言ってこなければ、韓国批判を私等の前で繰り広げるなどという事もない。「朝鮮民族なら朝鮮学校に通うべき」などと主張もしない。いたって普通に親戚付き合いをしている。  また私の実家の隣も「在日」で、その家は「朝鮮籍」であった。その家は何年か後に家族単位で「韓国籍」に変わったが、それにより付き合いが変化する訳でもなかった。  朝鮮籍から韓国籍への切り替えも、人によってタイミングが異なるだけであり、そこに違和感など無かった。  また、朝鮮籍だから必ずしも朝鮮学校に通う訳でもなく、韓国籍でも朝鮮学校に通う子は当たり前の様にいたし、民団と朝鮮銀行(もしかしたら総連)が合同で催し物をする事も、謂わば「普通」の事だった。  こういう「在日」の人付き合いでの私等の感覚は如何ようなものか。  前述の「朝鮮籍のクラスメイト」またそうであるが、「祖父母の代に渡って来た者どうし」、「朝鮮民族どうし」、「在日どうし」…という感覚でしかない。従兄弟の場合はこれに「親戚どうし」が加わる。  その感覚を纏めれば「同じ在日」の一言に尽きる。  これは日本で生まれ育った故の感覚かもしれない。実際、私等がもし韓国で生まれ育った場合、同じ感覚になっていただろうとは正直思えない。  そういう意味では、「在日特有の感覚」と思うべきなのかもしれない。    
/58ページ

最初のコメントを投稿しよう!

12人が本棚に入れています
本棚に追加