愚かな善人は悪人にも劣る

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愚かな善人は悪人にも劣る

 大学生2年の頃である。私が当時所属していたサークル内での事だ。それは私がそのサークルに入る少し前の出来事で、話は被害にあった女子から直接聞いた。  ある日の夜のこと。その女子…仮に「A子」としよう。  A子がサークルの時間が終わって帰宅しようとしたら、先輩の男子が家に付いて来てしまった。A子はその先輩(以降、この男子を「B男」とする)に対して男としての興味は全く無く、ついて来られて正直迷惑だった。  かといって無下にも出来ず、自分の部屋(下宿)に入れてしまった。  常識的に考えて、A子はここで「流石にそれは困ります」と追い返しても良いのであるが、それが出来なかった。相手が先輩だから言い辛いのもあったろうが、残念ながらその時のA子は、男のあしらい方が分からなかったのだ。  部屋に入れ、とりあえず茶を出す。B男の会話に気のない相槌をしながら、心の中で「早く帰ってくれないかな…(⁠´⁠ ⁠.⁠ ⁠.̫⁠ ⁠.⁠ ⁠`⁠)」と思っていた。  B男は全く帰ろうとせず、そのうちA子は疲れで睡魔に襲われ、ウトウトし始めてしまった。  A子が眠りに落ちたその瞬間。  B男はA子に覆い被さった。いや、襲いかかった。  A子は仰天して飛び起き、「やめて下さいっ!!」…と、半ば叫びながら必死で跳ね除けた。この時、A子の頭の中は真っ白だった。  この時点でA子が完全に「拒絶」の態度をとっているにも拘らず、B男は再び覆い被さろうとA子の体を抑えた。無理矢理に唇も奪われた。  恐怖と後悔と、ある種の情けなさで一杯になりながら、A子は尚も抵抗した。
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