西暦3XXX年

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西暦3XXX年

 どうしてこんな世界になってしまったのか。  人々は過去の文明を呪いながら暮らしていた。  発端はとある国家間でのテレパシーの誤送信だった。  正確には送る必要のない相手国への侮辱的な発言が、意図せずに送られたのだった。  実は、テレパシー装置が発明された際に世界平和を担うと期待された要素のひとつが、相手を傷つける類いの言葉はら思い浮かべても人工知能により事前に排除され、送られる心配がないという点だった。  そして実際に約100年の間、世界は平和だった。  だが、機械的な不具合なのか、作為的なものなのかは定かではなかったが、起きるはずのないことが起きてしまった。  そして、その国家間でのいざこざをきっかけに、新たな論争が巻き起こることになった。  人工知能により送られていない、    その事が問題視され始めたのだった。  小さな疑心暗鬼が大きな亀裂となり、やがて人々は互いに相手を疑うようになった。  そして世界は前世紀を超える紛争状態へと突入していた。
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