夢と鬱

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午前零時。 震える身体を抱いて眠る。 ここが現実と知った時、人は死にたくなる。 それに引き替え、夢を見ている時は楽で良い。 いっそ、このまま目覚めなければラクなのに、と。 苦しみからの解放を願って目を瞑る。 昼下がり。 3度目の正直で起き上がり、飲料水で憂鬱を流し込む。 ふと目をやるデスク。 書きかけの原稿が目に留まる。 "時間はある" 仕事を辞めたこと、後悔はない。 心を病めたこと、もう愛はない。 やめなかった先に、見たい景色があるか。 判断の基準はそれだけでいい。 獣は獣なりに、人は人なりに、 何を感じ、何を信じ、何を残せるか。 人生は短い。 悩みに悩んだ答えが、不正解ということも少なくない。 堪える。だけどその先に、答えがある。 止まってもいい、進め。 "短針"と"長針"が重なる、その刻まで。 進捗はなし。 人生はそんなに甘くはない。 ゼロイチの本質は、0.01を集めること。 千を数える頃には、一にも十にも百にもなる。 あひると白鳥。ウサギと亀。 どんでん返しを起こせるのは、いつも劣る方だけ。 今に見てろ。 努力の原動力は、結果を信じる心だ。 離れていった人。過ぎていく日々。 ギラついた目は、いつの間にか覇気を失っていた。 "時間がない"。 一番嫌いだった言い訳が、いつしか自分に言い聞かせるための口癖になってた。 大丈夫。まだ間に合う。 午前零時。 震える手おさえ、握る白いペン。 獣は獣なりに、人は人なりに、 何を感じ、何を信じ、何を残せるか。 人生は長い。 一度の正解で満たされるほど、人間の欲は浅くはない。 耐える。この鼓動が鳴る限り、闘える。 止まってもいい、進め。 "短針"と"長針"が重なる、その刻まで。 止まってもいい、進め。 "短針"と"長針"が重なる、その刻まで。
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