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「じいさんがいなくなった時もきっと地上でたくさんの人が死んでた。でもじいさんが戦ってくれたからあいつは満足に餌を食えなかった。実際今降りてきたしな」
「……じいちゃんは、シバリを蹴散らしながら昇っていってくれたんだな」
三家の一人と八家全員の長が集まり何とか噴火を押さえ込み始める。術を使って無理矢理止めているようだが。
「溶岩を押し込んだら他の山が噴火するだろ、馬鹿かあいつら」
呆れるチョウカはラオの尾をギュッ掴む。
「いってえ! 馬鹿力!」
「掴んでおかないとお前、じいさんと同じことしようとするだろ」
「それは」
「やめとけよ。じいさんの力でも勝てなかったんだ。お前が行ったら瞬殺で終わりだ」
「でも! このまま何もしないっていうのは」
「何もしないなんて言ってない」
「え」
チョウカは周囲を見る。シバリはほぼ全滅したようだ。
「怒り狂って降りてくるだろうよ。せっかくだから力を持て余して暇すぎる奴らに相手をしてもらおう」
にやりと笑うとラオの首の上に跨り角を掴む。
「何してんのお前」
「何って、行くだろ」
「お前止めたじゃん」
「一人で行くの止めただけだ。行くぞ、一緒に」
その言葉にラオはまっすぐ空を見つめてからポツリと呟いた
「おうよ」
ラオは、勢い良く飛び出した。
地鳴りではない別の大きな音が空から響く。最初は何か白いものが蠢いているようだったがやがてその姿を見ることができた。
「やっべ、想像以上にでかい」
「じいちゃんよりデケェし!」
ラオの祖父は百尺あったがその数倍大きい。仙人たちが一斉に飛び出すが、食事を邪魔されて気が立っているらしいサカナシは口を開くと、巨大な氷の塊を一気に吐き出した。冷たすぎるその空気はそこら中を凍りつかせて行く。
「あ、噴火おさまったな、よかった」
「どこまでも前向きだよなお前は!」
「噴火どうやって静めるか考えてなかったからな!」
空へ上っていく。サカナシは二人をギロリと睨みつけた。
「見ていたぞ、お前だな、俺の飯をかき乱したのは」
「餌がないのに一本釣りできるとは是如何に」
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