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その言葉にサカナシは尻尾を大きく振る。そこら中に乱気流が起こりラオはその風に乱されながらも必死に空を飛んだ。
「挑発すんなよ!」
「いや全然面白くないこと言うから。言い返さずにはいられなかったんだよ。さてと」
見下ろせば怒りに満ちた仙人たちが次々とサカナシに向かってきている。それらの相手を適当に受け流しながらサカナシはニヤリと笑った。
「臭うぞ、少し前に俺に歯向かってきた愚かな年寄り蛇。同じ匂いがする、血族か」
「じいちゃんの悪口言うな、あとしゃべんな息臭ェんだよ不細工」
今度は口から吹雪を吐き出す。氷柱も混ざっていて刺さったら致命傷だ。ラオはそれらを器用に避ける。サカナシはふん、と息をつくがひっひっひ、と嗤った。
「じじいを馬鹿にされて悔しいか。あの蛇は俺につっかかってきたが弱いのなんの。最後は尾の一振りで粉々になったぞ。ああ、思い出しただけでも笑える! 無様無様!」
怒りに震え黙り込んだラオの頭をぺしんと叩いたチョウカは鼻で笑った。
「その割には次の飯を集めるまでに二十年かかったな。どうせ大怪我して痛くて動けなかったんだろばーか、恥ずかしい奴。つーかこいつを蛇って馬鹿にするならお前も蛇じゃん、頭悪いな。あっち行け、しっしっ」
「下賤と一緒にするな!」
叫ぶと同時にゴウ、と突風が巻き起こる。そうしているうちに三家、八家が全員到着した。空を飛びながらサカナシに攻撃をしかけ、サカナシが怒りながら反撃をしている。ラオは溜息をついた。
「軽口でお前の右に出る者いないよな。……ありがとうよ、頭に上った血が下がったわ」
「あいつの舌戦が下手すぎて痛くもかゆくもなかった。じいさんが勇敢に戦ったってこともわかったしな」
「うん……ありがと」
「じゃ、いくぞ」
「おう!」
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