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ラオは勢いよく飛ぶ。サカナシは他の仙人相手に苛々してラオたちから気が逸れたらしい。大きすぎるので小回りがきかない、そこら中を飛びまわることができないようだ。
その隙にラオたちはサカナシの頭めがけて突撃する。近づいてきてようやく気がついたらしく、何か攻撃を仕掛けようとしたようだが他の仙人に邪魔をされてうまくいかなかったようだ。
純血の三家らはさすがに圧倒的だった。チョウカの出した炎とは比べ物にならない術をくり出している。頭の近くにやってくるとチョウカは飛び降りた。サカナシの耳に捕まると、サカナシは再び怒り狂う。
「触れるな穢らわしい!」
「お前、シュウセン様に何回か噛みつかれただろ。あちこち歯型が残ってるぞ、無様無様」
「喧しいわぁ!」
「今ならあの御方がどうして一人で行ってしまったのかわかる。勝てないと分かっていても戦いに行ったのはラオを守りたかったからっていうのもあるけど。力をつけた俺たちがお前にとどめをさしてくれると信じていたからだ!」
「笑わせるな小僧!」
サカナシはチョウカを振り落とそうと滅茶苦茶な動きを始めた。その影響であちこち山が砕かれ、突風によってあらゆるものが吹き飛ばされていくがチョウカは振り落とされない。
「愚かな龍、少し痛い目を見ろ」
オオオォォォ!!
ラオの雄叫びとチョウカの術によって雲が呼ばれる。一気に辺りが真っ暗となった。入道雲が重なりに重なって太陽の光が全く届かないのだ。
「がぁあ!?」
サカナシは光の中にいる龍。光を遮られては力が格段に落ちてしまう。辺りに響く雷の音にサカナシも何をしようとしているのか気づいたようだが鼻で笑った。龍に雷が効くわけない。
サカナシは口の中に思いっきり吹雪を用意する。とどめを刺したと浮かれている時に氷を叩きつけてやる、とニヤリと笑ったが。
「オラァ!」
チョウカが渾身の力で耳元を蹴飛ばす。その瞬間サカナシに激痛が走った。そして雷が落ちる。
ゴウ! バキバキバキ!
「ぎゃああああ!?」
雷がたたき落とされた瞬間、今まで感じたことのない凄まじい激痛が全身を駆け巡る。耳のそばに突き刺さっていた龍の歯、それを骨まで打ち込んだのだ。雷が歯に直撃するようチョウカは雷を操った。サカナシの骨と神経に伝わり全身をかけめぐる。白目を剥いたサカナシは、ゆっくりと天上界に落ちていった
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