スタートライン

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スタートライン

 俺の幼馴染で同級生である坂田時男には、幼い頃からの夢があった。 「俺達二人で日本一のお笑い芸人になろうぜ!」  そう。それは俺、菅谷圭太をも巻き込んだ、時男の壮大な人生設計だったのだ。  確かに、小学校の頃から俺達は気が合った。  お互いにお笑いが大好きで、よく休み時間になると、即興お笑いライブなるものをクラスのみんなに披露しては爆笑を搔っ攫った。  だからと言って、俺にはお笑い芸人になろうなんて気はこれっぽっちもなかったのだが、時男は違った。  親の反対を押し切った時男は、高校を自主退学した後、即行でお笑い養成所へと入所した。  そこまではまだいい。時男が自分の人生を自分で決めることに対しては何の文句もない。  問題は、知らぬ間に俺の親をも勝手に説得して、俺まで退学させられそうになったことだ。  俺にとっては正に青天の霹靂。  元々大学を受ける気も受かる気もなかったが、さすがにそれは勘弁してほしいと、時男には俺が高校を卒業するまで待ってもらった。  こうしてあれよあれよという間に、俺の人生は時男の計画に巻き込まれていったのだ。
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