愛情は感じるもの

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「他の人も私みたいに悩むことあるかな?」  亜純はポツリと問いかけた。 「そりゃ皆あるよ。悩みがなければ別れたりくっついたりしないでしょ」  千景は少し笑ってしまった。亜純には他人の恋愛がとても素晴らしく映っているんだと思うとおかしかった。 「仕事してるとね、ママさん達から旦那さんの愚痴は聞くの。でもそれは子供ができて親になって恋愛関係から少し違った関係になったからだと思ってたの」 「うん」 「私は依しか知らないから、周りから恋愛相談をされることなんてなかったし、皆初めての彼氏が旦那さんなんて素敵だねって……」 「たくさん恋愛を重ねてたくさん泣いた経験のある人にとっては初めての恋愛が結婚に繋がるってある意味一発成功に近いのかもね」 「あぁ……。そういうこと……。でも多分、私に相談してもわからないだろうなって思われてる。実際わからないし……依はいい彼氏だったと思う」 「そう」 「でも、いい旦那さんじゃなかった……」 「亜純がそう感じたならそうなんだろうね」 「難しいね。自分が好きになっても相手が好きじゃないこともある。今回さ……私ちゃんと彼のこと好きだったの。でも、彼は最初から違って……。恋愛って一方通行じゃできない」  亜純はハッキリと言葉にしたことで、ちゃんと悠生との恋愛は最初から恋愛ではなかったと心に落とし込むことができた。  あんなに最低だと思った相手でも、自分が好きになったという感情を否定するのは悲しいことだった。 「そう思うよ。だからお互いに同じくらい必要とすることができるって奇跡に近いことだと思う。傍にいたいって思うことと、いてほしいって思うことが同時に起きるって凄いよね」  千景は柔らかい声で言いながらそっと亜純の頭を撫でた。その瞬間に、亜純の心はポカポカと暖かくなった。
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