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「周りは皆彼氏がいて……私も付き合ってみようと思ったの。というか、1人だけ付き合った人がいて……でもダメだった」
今度は綾菜の方がポツリポツリと話し始めた。
「必死に周りに合わせようとしたの。普通でいられるように頑張ったの。でもダメだった……。触られたら気持ち悪いって思って……顔を見るのも嫌になって」
「うん、わかるよ……」
「だから、真白ちゃんが色んな人とって……凄いと思った」
「凄くないよ。私は最初から汚されていたから。もう死ぬほど父親に犯されたから、他の男はどうでもよく思えただけなの。他に必要としてくれる人もいなかったし」
「真白ちゃんは綺麗だよ。今まで見た人の中で1番綺麗。初めて見た時ね、お人形さんみたいだと思って……綺麗すぎてずっと見てたの。お店にも入れなくて30分くらいずっと」
「ふふ。そうなの?」
想像したらおかしくて、真白は笑みをこぼした。真白の方から初めて声をかけたのは、綾菜がファンデーションを選んでいる時だった。だから、初めての来店がそこだとずっと思っていた。
「お店に入れるようになるまで10回以上通ったの……。それで、何か買ったら真白ちゃんのこともっと近くで見れると思って……」
「うん……」
「私、男の人はダメだけど、女の子とも付き合ったことはなくて……。多分、好きになるのは女の子だと思うんだけど、レズビアンだっていう確証はなかったの。だから、そういう交流があるところに行ったこともなくて……」
「私もないよ。さっき言った子が初めて好きになった子で、女の子とは誰とも付き合ったことない」
「まだ、その子のこと好き?」
綾菜が息を飲むのがわかった。気のない男性から何度も言い寄られた過去を持つ真白は、綾菜が何を言いたいのかがわかった。
けれど、綾菜の口からちゃんと聞きたくてわざと遠回りをする。
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