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五千円札は戻ってくる
「そろそろチャージしとくか」
券売機に交通系ICカードを挿入し、続けざまに一万円札を入れる。
ディスプレイにチャージ金額がいくつか表示されたので、「5000円」を選んで押下する。ICカードに五千円分チャージされ、お釣りが券売機から出てくる。
お釣りとして出てきたのは、五千円札一枚。所々にくっきりとしたしわが刻まれており、粗末な印象を受ける。
「ぼろっちい五千円札だな」
何の変哲もない五千円札だが、眺めていると奇妙な感覚に襲われた。
「……どこかで見たことがあるような気がする」
いつ、どこで見たのか、思わず考え込んでしまったが、いつまでもぼうっとしているわけにはいかない。
五千円札を財布にしまうと、その足で会社に向かった。
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