五千円札は戻ってくる

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 色々と楽しんだ俺は、帰路に就く。  自宅のあるアパート近くまで来た時、風が吹いた。  弱くはないが、強すぎるというわけでもない。歩いていて少し暑く感じていたぐらいだから、気持ちの良い風である。いい風だと思っていると、遠くから何かひらひらしたものが飛んできた。  よく見ると、ひらひらしたものは2つあるようだ。 「うわっ!」  ひらひらしたものが俺の顔、しかも両目を覆うようにして張り付いた。  このままだと前が見えないので、慌ててはがす。 「何だこれは……」  張り付いていたものは、真っ二つになったぼろぼろの五千円札。 「まさか……」  すぐさま五千円札の記番号を見る。  記番号は、またもや「YU311031E」。  ここまで何度も何度も戻ってこられると不気味である。  なぜこんな所まで飛んできたのか。  銀行員が処分しようと持ち出した時、どこかのタイミングで飛んだというのか。  わからない。
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