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久しぶりの訪れ
2月、久しぶりに薫の君様が宇治にお出で下さいました。
薫の君様は何もご存じないようで、
物想いに耽る私を見て、一層女らしくなったと満足されたご様子で、
「都であなたのために建てている家がもうすぐ完成します。この春にはお連れしましょう。」
とおっしゃるのです。
匂の宮様からも昨日、
「気兼ねなくあなたと会える所を用意しましたよ」
とお手紙が来たばかりでした。
薫の君様に守られ生活していながら、
心は夢中で私を愛してくれる匂の宮様を愛おしいと求めてしまう。
匂の宮様の情熱は、やがては冷めると分かっているのに…
己の不貞な本性を見せつけられ、先々恐ろしいことになるに違いないと、私は胸が張り裂けそうでした。
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