20人が本棚に入れています
本棚に追加
/16ページ
七時になって母が帰って来た。母は祖母に病気を知らされて心底驚いたようだ。畑仕事はやめて家にいるよう言っていたが祖母は首を振っていた。
夕飯を食べて祖父とお風呂に入った。俊哉は祖父の背中を洗いながら訊く。
「おばあちゃんが癌って死んじゃうなんてことないよね」
「分からん。でも今は医療が発達しているからな。よっぽどのことがなければ死ぬことはないだろう。病院の帰りに考えたんだが、私はばあさんと長いこと一緒にいる。万が一のことがあって、いなくなることを想像するとおかしくなりそうだ」
祖父は振り返らずに話していたが肩が小刻みに震えていた。俊哉はまた泣きそうになった。
次の日、浩人に無視されながら学校に行った。朝のホームルームが終わった後、担任が理央を職員室に呼ぶ。昨日の宿題のことだろう。俊哉は理央が心配になった。
最初のコメントを投稿しよう!