キャベツ畑

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 一時間目は算数だ。だが担任の先生と理央は帰ってこない。二十分が経った。理央が後ろのドアから入ってきて俊哉の肩を叩いた。 「次は俊哉くんだって」 「え?」 「算数は自習。俊哉くん、職員室へ行って」  なぜ自分が呼ばれたのか分からない。首をひねりながら職員室へ行く。担任の先生は自分の席に座って丸椅子に俊哉を座らせた。 「なんで呼んだか分かるかな?」 「分かりません」 「理央ちゃんに聞いたの。健吾くんと浩人くんに喋ってもらえないでしょう。なぜそうなったのか心当たりはある?」  俊哉はそういうことかと納得した。青虫が原因だと言わなければならない。 「僕の家がやっているキャベツ畑の手伝いに健吾と浩人を呼んだんです。僕の家は有機栽培でキャベツを育てているんですよ。だから青虫が沢山ついていて。健吾と浩人は気持ち悪いって。それを触れる僕も気持ち悪いって言うんです」  担任は眉をカタカナのハの字に下げた。 「そう…。分かったわ。教室に戻っていいわよ」  俊哉は職員室を出た。理央のことも知りたかったが今は自分のことでいっぱいいっぱいだ。
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