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算数の次は理科だ。担任の先生が教科書を閉じるように言う。
「今日は蝶々の話をしましょう。蝶々は綺麗で可愛いわよね。先生はモンシロチョウが好きです。モンシロチョウはキャベツ畑などにいる青虫の成虫です。そう考えると青虫は可愛がらなくちゃね。モンシロチョウになって飛んでいる姿が見たいですね。もちろん蝶々も青虫も嫌いな人がいるかもしれないけれど、人はそれぞれ違うのだから自分の好き嫌いを人に押し付けたらいけません。先生の言っていること分かるかな?」
一人が「はい」というと教室中で「はい」という声が共鳴した。
理科が終わって休み時間になると健吾が来て「そういえばキャベツ畑にモンシロチョウが飛んでたな」と言った。
「うん。青虫が繭になって蝶々になるんだ」
「僕、蝶々は好きなんだ」
健吾がそう言ったとき浩人がいつの間にか後ろに立っていて「僕も好きだ」と言った。
俊哉は笑顔を二人に向けると二人もはにかんだように笑った。
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