キャベツ畑

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 なぜ俊哉が春になって毎日畑に通っているかは理由が二つある。祖母が腰を悪くして手伝いが必要になったのが一つ、もう一つはキャベツが大きくなり始めたからだ。祖母と祖父は有機栽培にこだわっていてキャベツに青虫がつく。俊哉は青虫が可愛くて好きなのだ。祖母にできるだけ取ってほしいと言われているから取った青虫は殺さずに畑の近くに流れている小川の土手に放している。  リビングでテレビを観ていると玄関の方から物音がした。祖母か祖父だろう。七時を回っているので母かもしれない。でも母なら玄関を開けると同時に「ただいま」と大きな声で言う。俊哉はテレビを消して玄関に向かった。祖母と祖父がいた。 「おばあちゃん、腰の具合はどう?」  今日は重い物を持つときはなるべく俊哉が手伝うようにしていた。けれど小学校三年生には限界がある。 「ああ、だいぶいいよ。俊哉が手伝ってくれているおかげだね。何をしていたんだい?」 「テレビを見てた。宿題は寝る前にやるんだ」  祖母は口角をあげると長靴を脱いで玄関を上がった。祖父も横に並ぶ。外に洗い場があるので長靴に土はついていない。 「お母さんもそろそろ帰ってくるだろう。キャベツを一個収穫してきたからコールスローサラダでも作ってあげようか。今日は唐揚げだって言っていたからちょうどいいだろう」 「やった。おばあちゃんの作るコールスローは好きだ」  夕飯はお母さんが作るけど祖母も手伝う。俊哉は二人とも凄いと思う。仕事して家事もして。以前健吾は夕飯がスーパーのお弁当ばかりだと言っていた。健吾の母は専業主婦だ。
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