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「タク、タク! タマゴが!」
よーく見ると、じんわりと発光が始まっていた。俺たちは顔を見合わせ、矢部は思い出したように用を済ませに行く。時々みせる小刻みな振動、まるで生物のように実が勝手に反応する。不規則で緩やかな点滅が徐々に明るさを増し、タマゴは明らかにその時が近づいてることを知らせていた。
「始まったみたいだな」
矢部が動画を撮り始める。
「何か赤っぽい?」
「そうだな。色も変化していくのかな」
〝白い実が膨らんで、固くなって金色になったらそれが合図〟
先輩は確かにそう言っていた。
「タク。赤が強くなってきた気がしない? これこのあと金色になる?」
「なるんだろ。もう少ししたら」
その後色は変化することもなく、硬直状態が続く。
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