拾ったものは誰のもの

2/5

6人が本棚に入れています
本棚に追加
/11ページ
「タク、タク! タマゴが!」  よーく見ると、じんわりと発光が始まっていた。俺たちは顔を見合わせ、矢部は思い出したように用を済ませに行く。時々みせる小刻みな振動、まるで生物のように実が勝手に反応する。不規則で緩やかな点滅が徐々に明るさを増し、タマゴは明らかにその時が近づいてることを知らせていた。 「始まったみたいだな」  矢部が動画を撮り始める。 「何か赤っぽい?」 「そうだな。色も変化していくのかな」   〝白い実が膨らんで、固くなって金色になったらそれが合図〟  先輩は確かにそう言っていた。 「タク。赤が強くなってきた気がしない? これこのあと金色になる?」 「なるんだろ。もう少ししたら」  その後色は変化することもなく、硬直状態が続く。
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加