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翔太は、跳んだ。
マンションの10階の踊り場から。
絶望の化身の重力に身をゆだね、確実に死が待ち受ける、地上のコンクリートの地面めがけて。
眠りの中まで追ってくるいじめの触手から逃れるため、彼の生命も含めて世界ごと消し去るしかなかった。
数秒後には、すべてが終わっているだろう。
意識は無の中に飛散し、もう何も考えたり悩んだりしなくていい。
それとも、この世の終わりの後に、何かがあるのだろうか。
翔太は目前に迫った衝撃を予想して、目をギュッと閉じ、歯を食いしばった。……。
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