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第1章
チーン…
このエレベーターも、エントランスまでの通路もホテルのようだ。そう思いながら電話だけがポツンと置いてある1階の受付を通りすぎ、自動ドアが開くと
「あっつっ…」
開ききらないうちに、むわっとした空気に言葉を投げ込む。ここ数日のお決まりの行動に苦笑する私は生田小萩、もうすぐ26歳。
9階建ホテルのようなメディカルビルディング内の7、8階にある‘緑ヶ原クリニック’という健康診断クリニックで受付として働いている。
医師や看護師などの専門スタッフに比べて、事務系職員が潤沢ではなく忙しいことにあからさまな文句を言いながら仕事をしている人もいるけれど、私はまずこの清潔で高級感まで漂うビルが気に入っている。
そして週に2回担当内科医としてクリニックに来るイケメン先生を見るのが眼福、至福…火曜日と金曜日という均等に担当を決めたのは先生自身なのか、経営陣なのか知らないけれど、ありがとう。火曜日、金曜日がベストだよ。
だって月曜日は祝日が多いから火曜日の方がいいし、金曜日の朝にイケメン先生を見ると1週間の最後一日頑張ろうって朝からにやける。文字通り見るだけだけれど。
明日は金曜日、ルン…
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