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『前章』
二〇二〇年――或る二人の外国人旅行者を発生源として、謎の新型ウィルス『アンノーンウィルス――UV』が猛威をふるい、世界中は感染混乱へ陥った。
UVは、主に、空気中に漂う微粒子と混ざって体内へ侵入するエアロゾル感染や、くしゃみや咳による飛沫感染を介した驚異の感染力を持つ。
UVは多くの人間を苦しめ、その命を食らい、国の経済や医療すら脅かすことで世界を震撼させた。
とはいえ、経済・医療・技術に恵まれた先進国においては『コルナケアエ帝国 』先導で推進された『外国人感染者流出入防止』や『都市封鎖』、『UVワクチン』の開発と拡充等を主とした感染対策によって、UVショックは収束を迎えた。
二〇三〇年・現在、ほとんどの“先進国”は、平穏な日常生活を取り戻していた……或る国を除いては。
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