余命宣告から

23/37
前へ
/88ページ
次へ
 翌日は、涼太朗を応援するかのような快晴だ。  いよいよ、涼太朗にとっては集大成とも言える穴窯での焼成作業だ。  みんな、真剣な面持ちで火を入れた窯を見守る。あとは、温度調節をしながら数日間の作業となる。涼太朗は、出来るだけ昼間に作業をし、夜間は高木と職人の佐藤と果歩が起きて番をする。ただ、細かい調整は涼太朗の仕事だ。  でも、何故か涼太朗には確信があった。  今回の穴窯は、成功するだろうと……。  いつもは、焼き上がりを見るまで、安心はできない。上手くいったと思っても失敗することも多いのだ。  こんなに、焼き上がりまでを心穏やかに過ごせるなんて、涼太朗自身が驚いている。
/88ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1743人が本棚に入れています
本棚に追加